筒井康隆のカーテンコールを読んだ

自分が筒井康隆の本を最初に読んだのは確か中学生くらいの頃で、冨樫義博の『レベルE』という漫画の主人公の名前が筒井康隆から取っているという2chの書き込みを見て何気なくブックオフで『笑うな』を立ち読みしたのがきっかけだった。始めて読んだときこんなに面白い小説があるのかと全身に電流が走るような衝撃を受け貪るようにその店にある筒井康隆の本を買い漁った。

その頃の筒井康隆は既に全盛期を過ぎ老熟期に入っていたような気がする。自分が一番好きなのは80年代から90年代前半の頃の作品で、勢いと毒と技巧が絶妙なバランスでとても溜まらない。古本中心だったので網羅的では無いが、そのあたりの時期の作品についてはあらかた読み尽くした。

社会人になった頃からだろうか、いつの間にか筒井康隆作品から離れてずいぶん経ってしまった。2010年代の筒井康隆にはあまり触れられていないので、今回だいぶ久しぶりの筒井康隆体験となる。

で、今回の『カーテンコール』、文章のリズム感は相変わらずだったが、昔の筒井康隆の作品と比べてだいぶマイルドな味付けになったような気がする。オチをさらっと流す感じの話が多い。むしろ70年代の筒井康隆とちょっと似ているような気もする。

しかし筒井康隆がコロナ禍を小説の題材にするするのはなんだか不思議な感じがする。自分が始めて筒井康隆の小説を読んだときは読む作品のほとんどが自分が生まれる前の本で、今も生きてる作家だと知ったのは読み始めてから少し後だった。その作家がリアルタイムをネタにした小説を読むのはなんとも贅沢な体験だ。

もう少し筒井康隆成分を摂取したくなってきたので『虚構船団』を注文した。