『アメリカは自己啓発本でできている』を読んだ

『アメリカは自己啓発本でできている』という本を読んだ。自分は普段自己啓発本を読まないし、なるべく距離を置くようにしているのだけど、まったく触れないでおくのも免疫ができないので良くないよなと思い、読んでみた。

この本は自己啓発本というよりは自己啓発書のまとめ本で、帯で糸井重里が「なまじの利口にゃわからない。さりとて阿呆では読み取れない。知の遊園地のような本です」と紹介しているように、少し斜に構えた視点で自己啓発書を面白おかしく紹介している。だからこそ自己啓発書アレルギーの自分でも手に取る気になった。

現代の資本主義の文化のルーツがキリスト教にあることが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本で解説されているらしい、ということくらいは何となく知っていたけど、自己啓発本のルーツもキリスト教プロテストにあったとは驚きだった。仏教がバラモン教へのカウンターから生まれたように、キリスト教がユダヤ教へのカウンターから生まれたように、自己啓発文化がカルヴァン主義の予定説へのカウンターから生まれたというのは言われてみればしっくりきた。そして個人救済の宗教から大乗的な分派が現れるのも仏教の辿ってきたルートをなぞっていて面白い。

アメリカの数百年を俯瞰してみると「この時代の人はこういう思想に囚われていたのだなぁ」と客観的に見ることができるけど、自分も今の時代の思想の影響下にあり、恐らくその思想ものちの世代からすれば古い考え方になりつつあるのだろうなと思う。自分の自己啓発本アレルギーも、ゼロ年代インターネットの頃に育んだ『働いたら負けかなと思っている』思想や、勤労を美徳とする親世代の『24時間働けますか』文化へのカウンターから来ている気がする。きっと自分よりふた周りくらい下の世代はそういった怠惰で露悪的な態度を格好悪いと感じてるのだろうなと思う。